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『ヴァガボンズ・スタンダート01 草間彌生』著者プロフィール

 

草間彌生 (くさま やよい)

 

前衛彫刻家、画家、小説家。

 

水玉模様のモチーフによる絵画や彫刻作品が特徴。大規模なインスタレーションや立体作品で知られる。

 

1929年長野県松本市生まれ。小学校に入る前後から物体の周りにオーラが見えるという幻覚や幻聴、恐れや不安を抱き始め、それらを表現するために絵を描き始める。水玉と網模様のモチーフはこの頃から出現。

1941年、高校在学中に教師であり地元の画家である日々野霞径から日本画を学ぶ。1945年、16歳ながら疎開中の画家によって開かれた「全信州美術展覧会」にて入選。1948年、京都市立美術工芸学校の4年最終課程に編入学。日本画を学ぶ。翌年卒業。1952年、松本市公民館、松本市第一公民館にて初の個展を2度に亘って開催。それぞれ200点以上の作品を展示する。それらの展示では信州大学の精神科医・西丸四方博士に見出され、東京大学で開催された関東精神神経学会で作品が紹介される。1954年から瀧口修造の企画するタケミヤ画廊などで立て続けに個展を開催。

 

1957年に渡米。この時、それまで以上の作品を作ることを自らに誓い、制作してきた数千点に渡る作品を焼き捨てる。1959年、「第20回国際水彩画ビエンナーレ」や、初の個展「オブセッショナル・モノクローム」をブラタ・ギャラリーで開催。

1962年頃から性や食をテーマとしたソフト・スカルプチュア作品を手がけはじめ、環境芸術の先駆けとなる。1964年には電気や鏡を用いた空間的な表現からキネティック・アートに発展させる。また、ハプニングと呼ばれるパフォーマンスアートを始め、1966年の第33回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、「ナルシスの庭」と題してプラスチックのミラーボール1500個を芝生に敷き詰めたが、それを販売しようとしたところ、ビエンナーレ当局に禁止される。ガートルード・スタイン画廊やアムステルダム市立美術館、ホイットニー美術館などに作品が展示され、国際的な名声を得る。

 

1968年、映画『草間の自己消滅』を監督・脚本・主演し、ニューヨーク各地で上映。同年の、第4回国際短編映画祭(ベルギー)で入賞。ドイツ、オランダなど各地で上映される。この頃には、裸のダンサーによるデモンストレーションや、ソ連のチェコ侵攻に抗議するソ連国旗を焼くパフォーマンスなど反戦を謳うヌード・ハプニングを多く実行。また、この年のハプニングが日本ではスキャンダル的に報道され、家族関係に亀裂が生じる。1971年も引き続きハプニングとファッションショーをヨーロッパの各地で行う。

 

1972年、パートナーとして連れ添ったジョゼフ・コーネルが死去。翌年にニューヨークから帰国し、活動拠点を東京に移す。1975年、体調を崩し入院。同年、帰国後初の個展を開催し、新作のコラージュ35点を発表。1978年、処女小説『マンハッタン自殺未遂常習犯』(工作舎)を刊行。

1984年の『クリストファー男娼窟』(角川書店)で第10回野生時代新人文学賞を受賞。以降、小説にも意欲的に取り組む。

 

1980年代は国内を中心に活躍すると共に、1983年はロサンゼルス現代美術館の企画展に出品、1986年はフランス・カレー市美術館、ドール美術館で個展を開くなど海外への作品展示も行う。1989年、雜誌『アート・イン・アメリカ』のカバー・ストーリーに日本人初の採用。

 

1993年、再びヴェネツィア・ビエンナーレに参加。1994年にベネッセハウス・ミュージアム(旧称:直島コンテンポラリーアートミュージアム)に自身初の野外彫刻『南瓜』を設置。この頃から再び世界的に注目を集め、国内外の美術館、画廊などの数多くの企画展に出品。以降、現在まで精力的に作品制作・発表を行い、日本全国で展示を行っている。近年の主な個展として、1998年から1999年までロスアンゼルス・カウンティ美術館を皮切りにニューヨーク近代美術館、ウォーカー・アート・センター、東京都現代美術館を巡回した大回顧展や、2000年から2003年までパリ日本文化会館、オーデンセ美術館(デンマーク)、レザバトア美術館(トゥールーズ)など世界を回った個展が挙げられる。

近年の目立った活動として、2008年のドキュメンタリー映画『草間彌生 わたし大好き』公開、2010年のあいちトリエンナーレへの参加、十和田市現代美術館のアート広場で野外彫刻インスタレーションの展示、2013年に南米での回顧展の巡回など。

 

主な受賞歴として、2000年第50回芸術選奨文部大臣賞受賞、2001年第71回朝日賞受賞、2002年紺綬褒章授章。2006年ライフタイム アチーブメント賞(芸術部門)、旭日小綬賞、第18回高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門受賞 。2008年松本市名誉市民。2009年文化功労者に選出。

主な著書として、『マンハッタン自殺未遂常習犯』(1978年 工作舎)、『クリストファー男娼窟』(1984年 角川書店)、『ニューヨーク’69』(1999年 作品社)、『無限の網──草間彌生自伝』(2002年、作品社)、『水玉の履歴書』(2013年、集英社)など。作品集に『YAYOI KUSAMA Furniture by graf: decorative mode no.3』(2003年 青玄舎)、『クサマトリックス 草間彌生』(2004年 角川書店)、『草間彌生 永遠の現在』(2005年 美術出版社)、『草間彌生全版画 1979-2013』(2013年 阿部出版)などがある。

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